校長室より
心温まるエピソード
4月17日(水)放課後、校長室から下校していく生徒さんを見ていると、一人の女子生徒が自転車の側で座り込んでいました。
面談に来られた保護者の方でしょうか、その生徒さんの側に行って心配そうに話しかけておられました。
そうこうするうちに、下校途中の生徒さんが次から次へと近寄っていき何か手伝っている様子です。
座り込んでいる女子生徒が立ち上がる様子もないので、何か大きなけがでもしたのかと心配になり、私も校長室から出て、様子を見に行きました。
すると、細いワイヤ式の鍵のワイヤ部分が自転車のギアに絡まってしまっています。
女子生徒の手は黒く汚れていましたので、何とか外そうとしばらく頑張ったようです。
私が見に行った時には、通りすがりの男子生徒が手を真っ黒にしながら、ワイヤを外そうと試行錯誤していました。
私は、女子生徒のケガを心配しましたが、元気な様子です。ただ、手がひどく汚れていました。
すると、先輩の女子生徒がその生徒に声をかけ、洗面所まで手を洗いにつれていってくれました。
男子生徒はひどく苦労していましたので、私は教員に手伝ってもらった方が良いと考え、先生に来ていただきましたが、私が呼びに行っている間に、ワイヤもほぼ外れるところまでできていました。
結局、私も、私がお願いした先生も見守るだけで、最後までその男子生徒が試行錯誤して、チェーンを外しました。
手は真っ黒になっています。
私は、制服が汚れなかったかな?とそんな心配をしていましたが、男子生徒はそんなことは気にならない様子でした。
それどころか、自転車の白いフレームについたオイルの汚れをハンカチで拭いています。
手を洗いに行っていた女子生徒が戻ってきて、そこに集まっていた生徒たち、それから、保護者の方、先生にお礼を言い、一件落着となりました。
誰かが困っているのを見たとき、それを通り過ぎてしまうのではなく、ちょっと声をかける。
そういった、優しさをこの生徒さんたちから感じました。
多くの生徒さんが、思いやりの心を持っていることが分かる、私にとって、本当に心温まるエピソードでした。